讀 賣 新 聞
2006年(平成18年)11月1日(水曜日)
しまふくろう
木村君と土木の明日
大声で「社長いるがーッ」。何事かと思いきや家内は恐る恐る玄関へ。するとそこに立っていたのは、ランドセル姿の福島小学校2年生、木村君だった。
妻「どうしたの翔一郎君」。彼「社長に会わせレ」。妻はニコニコと笑いながら
興奮気味の彼を案内した。すると、「社長、大きくなったら(社長の)会社で働きたい」と真剣な眼差(まなざ)しでの直談判。そういえば彼はこの夏休み、町内の我が社の工事現場を自転車巡回するのが日課だったらしい。「キリンが団地現場でしょ、トラは月崎の浜、カメが……」と、動物柄の重機車両の何がどこにあるのか完璧(かんぺき)に把握している。木村君は我が社の工事現場をこよなく愛してくれていたのだ。
「よしわかった。大きくなって社長の会社にどうしても入りたいのなら、勉強をしっかりやりなさい。特に算数」と私。その後、何度か町で彼と出会ったが、「社長!おれ算数やってるッ」と途中経過報告の猛烈なアピール。小学生の就職活動恐るべし。今や社長は彼の熱意に頭があがらない。
私たちの「土木の明日」に未来はありやなしや。彼こそが良い答えを知っているのかも知れない。(福島町・会社社長)